第742回 2020.07.06
脳障害児 日木流奈君の椅子
先日お客様のところに行き打ち合わせをしていましたら、不思議な能力を持っておられるお子様の話題になりました。
そのお子様の不思議な能力とは、積み木ブロックなどを見たときに、一瞬に裏に隠れているものなどを見ることができ、ブロックの総数などは一瞬にわかるそうです。
また飛んでいる飛行機なども、大きさが一瞬にわかってしまうとのことでした。
そこで思いだしたのが、18年前に世の中の多くの方を驚かせた「脳障害児 日木流奈君」のことでした。
改めて当時を思い出しながら報告をさせていただきます。
2002年4月28日NHKスペシャルで放映されたドキュメンタリー番組「奇跡の詩人〜11歳脳障害児 日木流奈君」のために作った椅子です。
皆様に大きな反響を与えた番組でした。しばらくは週刊誌などで取り上げられていて、反響の大きさからNHKはその後、特別番組を制作したほどでした。
放映の最後には「流奈君の椅子」が大きく映されていました。
依頼はお世話になっているマッサージの先生からの相談でした。とあるお客様が障害を持つお子さんを抱いて座るための椅子を探しているとのお話でした。その障害児が流奈君です。
お母さんは椅子に座り流奈君を横抱きにし、片方の手で文字盤を持ち、もう片方の手で流奈君の腕を支えながら会話をしておられます。その無理な姿勢のためにお母さんの体には大きな負担が生じていたようです。
そこでまず先生に勧められて流奈君が7・8歳のころに書かれた本を4・5冊買ってきて読んでみました。
ビックリいたしました。大学教授にも匹敵するような文章力です。
椅子の製作を無償でお受けすることに致しました。
さて椅子を製作するにあたっては、お母様が流奈君と会話をしておられる姿を把握しなければなりません。マッサージの先生のところでその姿をデザイナーと一緒に見せていただくことになりました。
さてその当日ですが、私の頭の中では流奈君が書かれたイメージの姿があり大変緊張をしています。
そんな状況でお母さん・流奈君とお会いをしたのですが、もうすでに会話が始まっていました。
緊張をしている私を気遣ってか、流奈君からは“そんなに緊張しないでください、たかが脳障害児ですから!”でした。
さて製作に当たっては図面に書けない部分などが多くあります。職人さんがおられる旭川で打ち合わせをするためにデザイナーと二人で行くことになりました。
理想の椅子が4ヶ月の後に完成をいたしました。椅子を使われてからお母さんが「この椅子は身体の一部のようです。おかげさまで新しい本が出来上がりました。」と本をプレゼントしてくださいました。
椅子の背もたれにお母さんが背をつけ椅子をまたいで座り、横抱きに流奈君を膝に乗せ、文字盤を使いながら会話をするための椅子です。
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